建設業の業務効率化|2024年問題を「DXで乗り切った」中小建設会社の具体策

建設業の業務効率化とは、施工管理・工程管理・写真管理・日報・勤怠管理・安全書類作成といった現場と事務所の業務をITツールで効率化し、限られた人員と時間で同じ品質を維持・向上させることです。

2024年4月から建設業にも時間外労働の上限規制(原則月45時間・年360時間)が罰則付きで適用され、「仕事量は変わらないのに残業を減らす」という矛盾の解決策としてDXが不可欠になっています。

1. 【実録】「残業を減らせ。でも工期は変えるな」

2024年4月。

建設業にとって歴史的な転換点でした。

5年間の猶予期間が終わり、時間外労働の上限規制が罰則付きで適用。月45時間・年360時間を超える残業は違法になりました。

これまで50社以上の中小企業をDX支援してきた私たちサモテクへ相談に来た、現場監督の山田さん(仮名・42歳)はこう言います。

「『残業を減らせ』と言われても、仕事量は変わらない。工期も変わらない。でも人は増えない。じゃあどうするんですか

答えは、「同じ仕事を、もっと短い時間でやれる仕組みを作る」 ことです。

この記事では、サモテクが山田さんの会社(従業員20名)で行った支援実例をもとに、施工管理アプリ・勤怠クラウド・写真管理の3本柱で、現場監督1人あたり月20時間の残業を削減した具体策を公開します。

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2. 建設業の「残業の中身」を分析する

建設業の残業の中身を分析すると、「現場で手を動かす作業」よりも「事務所で書類を書く作業」の方が多いケースが大半です。現場監督の残業時間の60%以上が書類作成・写真整理・日報・安全書類に費やされています。

サモテクが山田さんの1ヶ月の残業時間(月45時間)を内訳分析した結果:

残業の内容月間時間割合
写真の整理・台帳作成15時間33%
日報作成8時間18%
安全書類(KY活動記録等)の作成7時間16%
図面の確認・修正指示5時間11%
現場と事務所の移動5時間11%
会議・打ち合わせ5時間11%

残業45時間のうち、書類関連が30時間(67%)。 つまり、「現場の作業が終わらない」のではなく、「書類が終わらない」から残業している

この構造が分かれば、解決策は明確です。書類作業をITで短縮する。

セクションまとめ: 建設業の残業の正体は「現場作業」ではなく「書類作業」です。残業時間の約7割が写真整理や日報に消えており、ここをデジタル化することが上限規制クリアの最短ルートです。

3. 3本柱①:施工管理アプリで「写真と書類」を現場で完結

施工管理アプリは、工事写真の撮影・整理・台帳作成、日報作成、図面共有、安全書類管理を1つのアプリで完結させるツールです。現場でスマホやタブレットから入力し、事務所に戻ってからの書類作成時間をゼロに近づけます。

3-1. 導入前 vs 導入後

業務BeforeAfter(アプリ導入後)削減時間
工事写真の整理デジカメで撮影→PCに取り込み→フォルダ分類→台帳に貼り付けアプリで撮影→自動分類・台帳生成月12時間
日報作成事務所に戻って手書きまたはExcel現場でスマホから選択式入力月5時間
安全書類手書きのKY活動記録テンプレートからタップ入力月4時間
図面の確認紙図面を現場に持参→変更があると事務所に戻るクラウドで最新図面を共有月3時間

3-2. おすすめの施工管理アプリ

アプリ月額特徴
ANDPAD(アンドパッド)月3万円〜業界シェアNo.1。写真・工程・チャットを一元管理
Photoruction月1万円〜写真管理特化。電子小黒板が強力
KANNA無料〜小規模工事向け。直感的な操作性
ダンドリワーク要問合せリフォーム・内装工事に特化

山田さんの会社の選択: KANNA(無料プラン)から始め、3ヶ月後にANDPADに移行。理由は「KANNAで施工管理アプリに慣れてから、より高機能なANDPADに切り替えた方がスムーズだった」。

セクションまとめ: 施工管理アプリの導入により、現場から事務所に戻って行う書類作業が大幅に短縮されます。まずは無料で使えるアプリからスタートし、現場のITへの抵抗感をなくすのが成功の鍵です。

4. 3本柱②:勤怠クラウドで「時間管理」を見える化

残業時間を減らすには、まず「今、何時間残業しているか」をリアルタイムで把握する必要があります。紙のタイムカードでは月末にならないと残業時間が分からず、上限を超えてから気づく「手遅れ」パターンが頻発します。

4-1. 導入したツール

ツール費用機能
ジョブカン勤怠管理月200円/人GPS打刻(現場での打刻OK)、残業アラート、有給管理

4-2. 効果

  • 月20日目にアラート: 「山田さんの残業が月35時間に達しています」と自動通知
  • 残り10日で調整可能: 残業ペースを把握し、工程を調整して上限内に収める
  • 有給取得率の向上: 有給残日数が見えるようになり、取得率が前年比20%向上

Before: 月末にタイムカードを集計して初めて残業時間が分かる→「もう超えてた」
After: リアルタイムで残業時間が見える→「あと10時間だから今週は定時で帰ろう」

セクションまとめ: 残業削減には「リアルタイムな時間の把握」が不可欠です。紙のタイムカードをやめ、スマホのGPS打刻と残業アラートの仕組みを入れることで、上限超過という「手遅れ」を未然に防ぎます。

5. 3本柱③:写真管理のクラウド化で「台帳地獄」から脱出

建設業の写真管理は「撮影→PCへ転送→フォルダ整理→台帳のExcelに貼り付け→工程ごとに並べ替え」という5段階の作業が必要であり、現場監督の残業の最大の原因です。電子小黒板付きアプリで撮影すれば、この5段階が1段階に圧縮されます。

5-1. Before(デジカメ運用)

  1. デジカメで撮影(黒板を手書き→撮影→黒板を書き換え→撮影)
  2. USBケーブルでPCに転送
  3. フォルダに工程別に分類
  4. Excelの台帳テンプレートに1枚ずつ貼り付け
  5. 印刷して提出

1現場あたりの写真枚数: 500〜1,000枚。台帳作成だけで月15時間。

5-2. After(電子小黒板アプリ)

  1. スマホで撮影(電子小黒板が自動表示→撮影)
  2. 自動でクラウドにアップロード
  3. 工程タグが付与され自動分類
  4. 台帳が自動生成
  5. PDFで提出

台帳作成時間: 月15時間→3時間。月12時間の削減。

セクションまとめ: 電子小黒板を活用すれば、撮影から台帳作成までの5ステップが1ステップに圧縮されます。写真整理にかかっていた月15時間を月3時間に削減できる、現場にとって最もインパクトの大きい施策です。

6. 3本柱の効果まとめ

施策削減時間/月費用
施工管理アプリ(写真・日報・安全書類)24時間無料~月3万円
勤怠クラウド(リアルタイム残業管理)— ※管理向上月200円/人
写真管理クラウド(台帳自動生成)12時間上記に含む
合計約20時間/月月数千円〜3万円

山田さんの結果: 残業が月45時間→月25時間に。2024年問題の上限(月45時間)を余裕でクリア。

山田さん: 「一番変わったのは、事務所に戻ってから書類を書く時間がほぼゼロになったこと。現場でスマホ1台で全部終わる。17時に現場が終わったら、そのまま帰れるようになった」

セクションまとめ: 3つのITツールを月数千円〜3万円で導入するだけで、現場監督1人あたり月20時間の残業が削減されました。ITは「残業を減らせ」という精神論を、実現可能な「仕組み」に変えてくれます。

7. よくある質問(FAQ)

Q1. 職人さんがアプリを使えるか心配です。
使えます。施工管理アプリは建設現場の職人向けに設計されているため、スマホで写真を撮れる人なら操作可能です。山田さんの会社では55歳の職人も1週間で慣れました。

Q2. 通信環境がない現場でも使えますか?
多くの施工管理アプリはオフラインでも撮影・入力が可能で、通信回復時に自動同期されます。

Q3. 発注者が「紙の台帳」を求める場合は?
アプリからPDFで出力し、印刷して提出できます。デジタル台帳を受け入れる発注者も増えています。

Q4. 費用の補助金は使えますか?
IT導入補助金の対象になるケースがあります。ANDPADやダンドリワークはIT導入補助金の登録ツールです。

Q5. 2024年問題は「特別条項」で回避できませんか?
特別条項を使っても年720時間・月100時間未満が上限です。恒常的な対策としてはDXによる業務効率化が唯一の解決策です。

8. まとめ:2024年問題の答えは「仕事を減らす」ではなく「やり方を変える」

項目内容
2024年問題時間外労働の上限:月45時間・年360時間(罰則付き)
残業の正体67%が書類作業(写真整理・日報・安全書類)
3本柱施工管理アプリ、勤怠クラウド、写真管理クラウド
削減効果月20時間/人の残業削減
費用月数千円~3万円(補助金活用可能)
山田さんの変化月45h残業→月25h。17時に現場が終わったらそのまま帰れる

今日から始める9分間アクション:

  1. 3分: 先月の残業時間の「内訳」を書き出す(写真○h、日報○h、安全書類○h)
  2. 3分: KANNA(kfrm.jp)のサイトで無料アカウントを作成
  3. 3分: 明日の現場で「1枚だけ」電子小黒板で写真を撮ってみる

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