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Make・Zapierの自動化で失敗する7つの原因|API連携がすぐ止まる理由【2026年最新版】
「Zapierで自動送信されるはずのメールが、先週から全く送られていなかった」
「Makeで組んだ複雑な連携フローが急にエラーを吐き、どこを直せばいいのか誰もわからない」
ChatGPTやAIエージェントの普及により、それらを社内の各種アプリ(Slack、Gmail、Kintoneなど)とつなぐ「Make」や「Zapier」といった連携ツール(iPaaS)の利用が爆発的に増加しています。Zapierだけでも月間15億タスク以上が実行され、75万以上の組織が利用。ノーコード/ローコード市場は2026年に300億ドルを超えるとGartnerは予測しています。
しかし一方で、「作った直後は動いていたのに、1ヶ月後に突然止まってしまった」というSOSが、DX推進の現場からサモテクへ数多く寄せられています。
結論から言うと、MakeやZapierの失敗のほとんどは、ツールの欠陥ではなく「API特有の仕様への理解不足」と「エラーが起きたときの対処ルールの欠如」が原因です。
この記事では、ノーコード開発やシステム間連携のトラブルシューティングを100社以上経験してきたサモテクの視点から、連携ツールを用いた自動化が失敗する「7つの典型的な原因」と、絶対に止まらない自動化フローを作るためのプロの設計術を解説します。
この記事でわかること
- 自動化フローが突然動かなくなる「APIの突然死」の正体
- エラー発生時に原因が特定できないスパゲッティ状態の回避策
- 無限ループやレート制限という見落としがちな落とし穴
- Make・Zapier・n8nの使い分け基準
- AIエージェント時代のノーコード自動化の正しい立ち位置
1. 認証切れやAPI仕様変更による「突然死」
結論:連携ツールが突然止まる最大の原因は、アプリ側のセキュリティ仕様による「ログイン状態の期限切れ(認証切れ)」です。
システム同士を安全につなぐためには認証というパスワード確認のような仕組みが使われますが、この認証状態は永遠には続きません。
1-1. 失敗を回避する対策
Googleのシステムや各種SNSなどは、数ヶ月に一度、セキュリティのために接続の再認証を求めてきます。これを放置すると、ある日突然データが流れなくなります。
また、連携先のアプリ自体が機能のアップデートを行い、データの受け渡しルール(API仕様)が変更された場合もエラーになります。
これを防ぐためには、「1回作って終わり」ではなく、ログインアカウントの定期的な再認証ルールを設け、エラー通知を受け取るメールアドレスを社内で共有することが必須です。
セクションまとめ: 複数のクラウドアプリをつなぐということは、それだけ「アップデートによる接続切れのリスク」を抱えることを意味します。定期的なメンテナンス日を設定し、認証状態を更新する運用が求められます。
2. エラー処理が未設定で「致命傷」になる
結論:連携の途中でエラーが起きた際の「例外処理」を組んでいないフローは、プロの目から見れば完全に失敗作(未完成)です。
「メールが届いたら添付ファイルを保存する」というフローの場合、そもそも添付ファイルが付いていないメールが届いた瞬間に、ツールは「想定外の事態」として完全に停止します。
2-1. 失敗を回避する対策
MakeやZapierには、エラーが起きた場合の別ルートを設定する機能が備わっています。
もし添付ファイルがなかった場合は止まるのではなく、「添付ファイルなしとして処理をスキップする」、あるいは「システム管理者のSlackにエラー発生の通知を送る」といった道筋を必ず作ってください。
特に重要なのは以下の3つのエラーパターンへの事前対策です。
- データが空・欠損している場合 → スキップ or デフォルト値を設定
- API側がエラーを返した場合 → リトライ(再試行)を設定
- 想定外のデータ形式が来た場合 → エラー内容を管理者に通知
セクションまとめ: うまくいく前提の「ハッピーパス」しか作られていないフローは危険です。「もしデータが空だったらどうするか」というトラブル前提の設計を組み込むことが、現場で使い続けられるシステムの条件です。
3. フローが長すぎてタイムアウトする
結論:1つのフローに10個も20個も処理を詰め込むと、処理時間の制限に引っかかって強制終了(タイムアウト)する確率が跳ね上がります。
特に、チャットボットの裏側で情報の検索やAIでの文章要約を行わせる場合、AIの返答に時間がかかると、待ちきれなくなった連携側がエラーを出してしまいます。
3-1. 失敗を回避する対策
複雑なやり取りは1つの長い線路で作るのではなく、短い線路に分割します。
「情報を受け取って保存するだけのフロー」と、「保存されたデータを数分後に取り出してAIに要約させるフロー」のように、役割を細かく分ける機能分割(マイクロフロー設計)の考え方を取り入れると、エラーの発生率を激減させることができます。
セクションまとめ: 長すぎるフローは、途中で脱線したときにどこから直せばいいのか誰にもわからなくなります。処理を短く分割して繋ぎ合わせる設計が、ノーコード開発の鉄則です。
AIを組み込んだフローが途中で破綻する理由については、こちらの記事も参考にしてください。
👉 AIエージェント導入で効果が出ない?失敗する企業の7つの原因
4. 無料プランや低いプランの「タスク上限」に到達する
結論:ツールの機能ではなく「予算設定のミス」で連携が止まるケースも多発しています。
MakeやZapierなどの連携ツールは、買い切りではなく「月に何回処理を実行したか」という従量課金の仕組みになっています。Zapierのエンタープライズ契約の平均年額は7.5万ドル(約1,100万円)以上に達しており、タスク量の見積もり誤りは深刻なコスト問題に直結します。
4-1. 失敗を回避する対策
月末近くなると突然処理が止まる場合、月のタスク実行可能数の上限にぶつかっている可能性が高いです。
これを回避するには、不要な処理(たとえば、社内のお知らせメールなど自動化しなくてもよいもの)をフローから除外するか、あるいはより大規模な処理に適した上位プランへの引き上げが必要です。導入前に、「1日何件のデータが来るから、月にこれくらいの処理回数が必要だ」という計算を必ず行ってください。
セクションまとめ: ノーコードツールは手軽に導入できる分、処理回数の見積もりを甘く見がちです。見えないコスト(処理回数)をコントロールする仕組みを持たなければ、意図しない業務停止を引き起こします。
5. 日本語特有のデータ処理(文字化けや形式違い)
結論:海外製のツールであるMakeやZapierは、日本特有の「全角・半角の混在」や「和暦の処理」でつまずきやすいため、事前の文字の変換作業が必要です。
顧客からの問い合わせフォームの電話番号が「全角」で入力されていると、海外製の顧客管理システムにデータを渡した瞬間に「無効な電話番号」としてエラーが出るケースが頻発します。
5-1. 失敗を回避する対策
データを次のアプリに渡す前に、必ず文字を整える機能(テキストをすべて半角数字に変換する、空白を削除するなど)をフローに挟み込みます。この前処理の手間を省くと、後で取り返しのつかないデータ不一致に悩まされることになります。
セクションまとめ: アプリ同士をつなぐ際は、言語やデータ形式の違いという「文化の壁」が存在します。受け取り側が理解できるきれいな形に翻訳(変換)してあげる工程が必須です。
6. 無限ループとレート制限の見落とし【2026年新トレンド】
結論:2つのフローが互いにトリガーし合う「無限ループ」や、API側の「レート制限(1分間あたりのリクエスト上限)」を知らずに設計すると、フローが無限実行されてタスク数が一瞬で枯渇するか、APIがブロックされて全停止します。
例えば、「Googleスプレッドシートが更新されたらSlackに通知 → Slackの通知内容をスプレッドシートに記録」というフローを組むと、2つのフローが互いにトリガーを発火し続け、数分で月のタスク上限を使い切るという致命的な事故が起きます。
また、2025〜2026年にかけてAI APIの利用が急増した結果、OpenAI・Google・各種SaaSがレート制限(Rate Limit)を厳しくしている傾向があります。1分間に送信できるリクエスト数を超えると、APIは429エラー(Too Many Requests)を返し、フロー全体が停止します。
6-1. 失敗を回避する対策
- 無限ループ防止: トリガーとアクションが同じアプリの場合は、フィルター条件(例:「AIが追記した行は除外する」)を必ず設定する
- レート制限対策: AI APIを呼び出すステップの前に「遅延(ディレイ)」を挟み、1分あたりの送信数を制御する
- バッチ処理: 1件ずつ処理するのではなく、データをまとめて一括処理する設計に変更する
セクションまとめ: 無限ループとレート制限は、フローの「設計ミス」が原因です。「自分のフローが暴走する可能性はないか?」「連携先APIの制限は把握しているか?」を、公開前に必ずチェックしてください。
7. 「作った人しか直せない」属人化の罠
結論:ノーコードツールは「誰でも作れる」が売り文句ですが、現実には「作った人にしか構造が理解できない」フローが大量に社内に蓄積され、退職や異動でメンテナンス不能に陥るケースが急増しています。
Gartnerの予測では、2026年には新規ビジネスアプリの75%がノーコード/ローコードで構築され、その80%はIT部門以外の「市民開発者」によって作られるとされています。これは生産性向上の追い風である一方、ガバナンスなきノーコード開発の「野良フロー」が社内に乱立するリスクも同時に意味しています。
7-1. 失敗を回避する対策
- フローの命名規則を統一する: 「[部署名][処理内容][バージョン]」のような命名ルールを策定
- 各フローに「設計メモ」を残す: なぜこのフローが必要か、どのデータを扱っているかを記録
- フローの棚卸しを四半期ごとに実施: 使われていないフロー・重複するフローを整理
- 管理者権限を明確にする: 誰がどのフローのオーナーかを台帳で管理
セクションまとめ: 「誰でも作れる」は「誰でもメンテナンスできる」とは限りません。組織としてのノーコードガバナンス(命名規則・設計メモ・棚卸しルール)を敷くことが、自動化を長期的な資産にする鍵です。
属人化を解消するための具体的な方法はこちら。
👉 属人化を解消する業務効率化|「あの人が明日辞めたら?」テスト
【参考】Make・Zapier・n8n比較表
自動化ツールの選定で迷う方のために、主要3ツールの特徴を比較します。
| 比較項目 | Zapier | Make | n8n |
|---|---|---|---|
| 対象ユーザー | 非エンジニア(業務部門) | 非エンジニア〜中級者 | エンジニア・技術チーム |
| 対応アプリ数 | 8,000以上 | 1,800以上 | 400〜1,000以上 |
| 複雑なフロー | シンプル向き | 複雑な分岐に強い | 高度なロジック対応可 |
| 料金体系 | タスク数ベース | オペレーション数ベース | 実行数ベース or セルフホスト(無料) |
| AI連携 | AI Copilot搭載 | AIモジュール有 | 複数LLM対応 |
| セルフホスト | ❌ 不可 | ❌ 不可 | ✅ 可能(データ完全管理) |
| 向いている企業 | 手軽に始めたい | コスパ重視で複雑な処理も | セキュリティ・カスタマイズ重視 |
選び方の目安: 初めての自動化 → Zapier。コスパと柔軟性のバランス → Make。データを社外に出せない・高度なカスタマイズが必要 → n8n。
まとめ:連携ツールで失敗しないための4つのステップ
ここまで解説した7つの落とし穴を回避し、業務インフラとして安定稼働する自動化フローを作るためのステップは以下の4つです。
- エラー通知網の構築:フローが止まった際に、すぐに関係者へ通知が飛ぶ仕組み(例外処理)を最初に作る。
- アカウント管理の徹底:連携している各アプリのパスワード変更や認証状態の更新ルールを台帳化する。
- フローの短縮化:複雑な処理は短い単機能のフローに分割し、タイムアウトや処理詰まりを防ぐ。
- ガバナンスの整備:命名規則・設計メモ・フローの棚卸しルールを策定し、属人化を防ぐ。
「自社で作ったZapierのフローが複雑になりすぎて、作った本人しか直せない」
「もっと全社規模でシステムを連携させたいが、今の構成で大丈夫か不安だ」
このような「自動化の壁」に直面しているご担当者様は、手遅れになって業務が完全にストップする前に、ぜひ一度サモテクへご相談ください。貴社の現在のフロー設定を診断し、止まらない強靭なシステム構成へとリファクタリング(最適化)するお手伝いをいたします。
よくある質問(FAQ)
Q. Zapierで作った連携が、ある日突然動かなくなりました。原因は何ですか?
最も多い原因は、連携しているアプリ(GmailやSNSなど)のセキュリティ上の理由による「認証切れ」です。再度パスワードなどを入力して接続状態を更新する必要があります。また、連携先アプリのAPI仕様変更が原因の場合もあるため、Zapierの「Zap History」でエラーの詳細を確認してください。
Q. Makeを使って複雑なフローを組んでいますが、月に何度もエラーが出ます。
1つのフローに処理を詰め込みすぎると、処理時間の制限(タイムアウト)に引っかかりやすくなります。また、想定外の空データが来たときの例外処理が作られていない可能性が高いです。フローを短く分割し、各ステップにエラーハンドリングを組み込むことをおすすめします。
Q. 月末になると、連携の設定はいじっていないのに動かなくなります。
ご契約されている連携ツールの「1ヶ月あたりの実行タスク上限数」に達している可能性が高いです。不要な処理を見直すか、一つ上の有料プランへアップグレードする必要があります。特に無限ループが発生している場合、数分でタスク数が枯渇する危険があります。
Q. MakeとZapierとn8n、どれを使うべきですか?
初めての方やシンプルな連携を素早く作りたい場合は直感的な操作の「Zapier」(8,000以上のアプリ連携)。複雑な条件分岐やコスパを重視するなら「Make」。セキュリティ要件が厳しい、データを社外に出せない、または高度なカスタマイズが必要な場合は、セルフホスト可能な「n8n」が最適です。
Q. AIエージェント(OpenAI Agent Builderなど)が登場した今、Make・Zapierはまだ必要ですか?
はい、必要です。AIエージェントは「判断・推論・文章生成」が得意ですが、「Gmail → Slack通知」「フォーム → CRM登録」のような定型的なアプリ間連携にはMake・Zapierの方が圧倒的にシンプルで安定しています。最適な構成は「定型処理はMake/Zapier」「判断が必要な処理はAIエージェント」という役割分担です。
Q. フローの無限ループを防ぐにはどうすればいいですか?
トリガーとアクションが同じアプリ(例:スプレッドシートの更新 → スプレッドシートに書き込み)の場合に無限ループが発生します。防止策は、①フィルター条件で「AIが追記した行はトリガーから除外する」設定を入れる、②更新元と書き込み先のシートやカラムを分ける、の2つです。
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